しっくいメーカー田川産業(福岡県田川市)が、第2回ものづくり日本大賞の最高賞の内閣総理大臣賞を獲得した。
http://www.meti.go.jp/press/20070802006/a_press.pdf
ものづくり日本大賞は、日本の文化や産業を支えてきた「ものづくり」を新しい時代に承継・発展させるため、その最前線で活躍する人々を顕彰し、世の中に広く伝えるために創設された賞で、九州では初めて内閣総理大臣賞になるそうだ。受賞内容は「不焼成漆喰セラミックの開発」ということで、これは、簡単に言うと焼かないタイルということになる。
LIMIXと呼ばれるこの製品は、開発の初期の段階から、相談いただいて使わせていただき、私の勝手なイメージに随分付き合っていただいた。
LIMIXのページ
http://www.shirokabe.co.jp/limix/index.shtml
このタイルの特徴である均一でマットでソフトなイメージのテクスチャーは他のタイルには見られない。それだけでも充分きれいなのだが、注目したいのは、焼かないので、通常のタイルには無いいろいろな表現が可能なタイルであるという点だ。
製作過程で本物の木の葉を貼り付け、タイル面に葉の葉脈を浮き立たせたり、和紙作家の作品を表面に貼り付けたり、数量にもよるが自由な色のタイルが出来、場合によってはグラデーションなどのタイルも可能、色ガラス片や美しい自然石を混入させたりすることも出来る。
「江藤石油」では自動車関連施設らしくタイヤのトレッドパターンの型を作り、タイル表面に表現し、店内の床に車の輪立ちを引き込んだ。
「伊万里駅ビル」では、唐草模様をタイルに刻印したり、階段のノンスリップに彫込をいれたり、陶器の呉須 (ごす)青のグラデーションをこのタイルで表現した。私のデザインイメージに対し、開発スタッフは、真摯にとても粘り強く何度もサンプルを作ってくださった。
「芦辺港ターミナルビル」では、2層の色のタイルを作り、ブラストをかけて下層の色を浮き出させサインを作ったり、壁のレリーフを表現した。色漆喰のペーストを使って、タイルに絵を象嵌することも出来るし絵画をプリントすることも出来、まだまだいろいろなデザイン方法が試行錯誤されている。
クリエイターにとって今後も創作意欲をかき立てる様々な展開が期待される。
しっくいには元々、消臭機能や調湿機能もあり、この製品にもしっくい本来の機能も備わっているそうだ。
自分が初期段階から関わってきた製品や技術がこうした栄誉ある賞を受賞することは、とてもうれしいし、行平社長をはじめ田川産業の社員の方々のたゆまぬ努力の賜物であり称えたいと思う。私もこれからも微力ながら応援していきたい。
>シード建築設計事務所 http://www.seedhp.com
2007年8月30日木曜日
2007年8月26日日曜日
太陽の動き日影の動き
住宅のインテリアや庭を計画するうえで、また、光が重要な建築の計画において、建築自体による影が、一日の中でまた季節によって、どのように動くかの検討は建築の設計において避けて通るわけにはいきません。
建築による日影はどのように動くのでしょうか。太陽はどのように動くかは、義務教育で習ったので、その反対に影が出来るのですが、実際の建築のスケールにあてはめでみると、なかなか興味深いと思います。
図1~3は高さが約9m程度の3階建ての住宅の影がどのように出来るかを示しています。(福岡で計算)季節ごとの同時刻の日影。上から冬至、夏至、彼岸。
冬至の影
これは冬至の影を、日の出の頃から日没のころまでを1時間おきに示しています。
冬至の影は1日中北側に長い影が出来ます。常に北側に影が出来るという点では、一日中あまり変化が無い影の出来かたと言えるでしょう。近隣の敷地に最も影響を及ぼすので、建築基準法でも日照の問題を規定する部分では、冬至の影を基準としており、確認申請に添付されるのはこの図です。
夏至の影
これは夏至の日の建築の影を、日の出の頃から日没のころまでを1時間おきに示しています。夏至の影は建築の設計では通常は書きませんが、とても面白い影です。太陽がかなり北寄りから昇るために、朝の9時までは太陽は(東西軸の)北側にあり、南側に影が出来ます。9時から午後3時までは、東西軸のほぼ真上の空を東から西に動き、その間は、南の壁面にはあまり光が当たらず、壁に低い角度でしかあたらない。
午後3時ごろ、太陽はほぼ真西にあり、その後は北側にまわる。1日を通して北側に大きな影が出来ることはない。4時間以上日影になる部分は建物の周囲のごくわずかの範囲。つまり、北側の壁面の間近以外には充分に日照が得られる。建物の北庭でも充分、夏野菜が出来そうです。
1日の光の動きとしては、北東側から当たっていた光が、東の空に昇りそれから南の上に行き、昼過ぎに真西、さらに北側にまわるという、変化のある動きを見せてくれます。
お彼岸の影
これは春と秋の彼岸の頃の影を、日の出の頃から日没のころまでを示しています。真東から昇り、真西に沈むので、北側の影の先端の軌跡が直線になります。
3つを比較してみると、季節により驚くほどの違いがあることがわかります。3つの図とも、グレーに塗りつぶしている部分は午後3時の影で、1つの時間をとってみても季節によりこれだけの違いがあることが解ります。
季節により太陽高度が変わることは解っていていても、その他にも随分興味深いことが沢山あることがわかり、建築計画に取り入れることが出来そうです。
これは昔、学校で習った太陽の1日の動きを示しています。影の原因、太陽の動きを再確認してみましょう。
右側の図は立った状態で西から東側を眺めている様を示しています。
福岡県 福岡市は 33°35'N 130°24'E なので、太陽高度はどの程度かというと、緯度が33.5度の福岡の場合、夏至の南中時刻の太陽高度は
90-33.5+23.4=79.9度
夏は実にほぼ真上から日が差していることがわかる。(右図の一番左の軌跡)
冬至の南中時刻の太陽高度は
90-33.5-23.4=33.1度
冬はとても横から日が差していることがわかる。(右図の一番右の軌跡)
夏には天球のほぼ真上を通っているのに、冬にはこんなに端っこしか動いてないことが解ります。
参考までに、春分秋分の頃は(右図の中央の軌跡)
90-33.5=56.5度
このあたりは、建築でも基礎なので、日本の建築の庇は夏の日差しを遮り、冬は光を室内まで取り込むように計画されているのは常識。
では、太陽は本当に東から昇って西に沈んでいるのか?
左の図は地図を見るように、天球の上から地面を見ています。これを見ると、
夏至の太陽は東ではなく、さらに30度ほど(南を0度とすると、-118度くらい)も北側に振れた位置から昇り、東西対称の位置に沈みます。つまり「東から昇って西に沈んでいる」というのは随分な巾があるといえます。
そんな言葉尻をとらえて・・・と言われるかもしれませんが、建築計画には重要な意味を持っています。
夏の太陽は朝と夕方は、かなり北側まで回っている。
では何時ごろ真西を通っているのかというと、朝は9時ごろ真東、午後は15時頃に真西にあります。そのため、午後3時以降もまだまだ、じりじりと照りつけ、日没まで4時間以上も照らし続けるのです。しかも沈む前の太陽なので、高度が低く建築の西側の壁に大きい角度で当たるので、熱負荷が大きくなります。夏の西日がきつい訳です。
真西を過ぎると、北側に太陽が振れるので、敷地の両隣に遮る物が無い場合、北側の壁面や北側の庭にも充分に光が回ります。1日を見ても夏至の頃は太陽が南側にある時間より、北側にある時間の方が長いのです。
そして、南側の壁面について言えば、夏の太陽は南側の壁面にはあまり負荷を与えてない。南側にある窓から直射日光を遮るには1m程度の庇があれば充分ということになります。
春分と秋分は真東から昇って真西に沈むので、4月から8月ごろまでは北側にも光が当たり、特に5~7月には近隣の条件によっては、北側でも充分な直射日光が得られることがわかります。高さ5mの建築で影の長さは0.9m程度です。
だから、3つの庭がある家の屋上の芝生は全面緑色です(コンクリート壁の真北の直下も)。
北庭の家:建物を敷地の南に寄せ、北庭とした住宅。
庭には直射日光が必要-庭のはなし
これらは、福岡で計算していますので、他の地域では多少の違いがあります。
また、上記の時間は全て真太陽時であり、実際の時間とは季節によって数分から数十分の差があります。これについては、「真太陽時」で検索すると詳しいページがたくさんあります。
国立天文台 天文情報センター
http://www.nao.ac.jp/koyomi/
などは、地域別の今日のこよみを調べることが出来るので便利です。
よろしければ会社のホームページもご覧ください。
興味深い設計の実例を多数紹介しています
>シード建築設計事務所
建築による日影はどのように動くのでしょうか。太陽はどのように動くかは、義務教育で習ったので、その反対に影が出来るのですが、実際の建築のスケールにあてはめでみると、なかなか興味深いと思います。
図1~3は高さが約9m程度の3階建ての住宅の影がどのように出来るかを示しています。(福岡で計算)季節ごとの同時刻の日影。上から冬至、夏至、彼岸。
冬至の日影 |
夏至の日影 |
彼岸の日影 |
冬至の影
冬至の日影 |
これは冬至の影を、日の出の頃から日没のころまでを1時間おきに示しています。
冬至の影は1日中北側に長い影が出来ます。常に北側に影が出来るという点では、一日中あまり変化が無い影の出来かたと言えるでしょう。近隣の敷地に最も影響を及ぼすので、建築基準法でも日照の問題を規定する部分では、冬至の影を基準としており、確認申請に添付されるのはこの図です。
夏至の影
夏至の日影 |
これは夏至の日の建築の影を、日の出の頃から日没のころまでを1時間おきに示しています。夏至の影は建築の設計では通常は書きませんが、とても面白い影です。太陽がかなり北寄りから昇るために、朝の9時までは太陽は(東西軸の)北側にあり、南側に影が出来ます。9時から午後3時までは、東西軸のほぼ真上の空を東から西に動き、その間は、南の壁面にはあまり光が当たらず、壁に低い角度でしかあたらない。
午後3時ごろ、太陽はほぼ真西にあり、その後は北側にまわる。1日を通して北側に大きな影が出来ることはない。4時間以上日影になる部分は建物の周囲のごくわずかの範囲。つまり、北側の壁面の間近以外には充分に日照が得られる。建物の北庭でも充分、夏野菜が出来そうです。
1日の光の動きとしては、北東側から当たっていた光が、東の空に昇りそれから南の上に行き、昼過ぎに真西、さらに北側にまわるという、変化のある動きを見せてくれます。
お彼岸の影
お彼岸の日影 |
これは春と秋の彼岸の頃の影を、日の出の頃から日没のころまでを示しています。真東から昇り、真西に沈むので、北側の影の先端の軌跡が直線になります。
3つを比較してみると、季節により驚くほどの違いがあることがわかります。3つの図とも、グレーに塗りつぶしている部分は午後3時の影で、1つの時間をとってみても季節によりこれだけの違いがあることが解ります。
季節により太陽高度が変わることは解っていていても、その他にも随分興味深いことが沢山あることがわかり、建築計画に取り入れることが出来そうです。
これは昔、学校で習った太陽の1日の動きを示しています。影の原因、太陽の動きを再確認してみましょう。
右側の図は立った状態で西から東側を眺めている様を示しています。
福岡県 福岡市は 33°35'N 130°24'E なので、太陽高度はどの程度かというと、緯度が33.5度の福岡の場合、夏至の南中時刻の太陽高度は
90-33.5+23.4=79.9度
夏は実にほぼ真上から日が差していることがわかる。(右図の一番左の軌跡)
冬至の南中時刻の太陽高度は
90-33.5-23.4=33.1度
冬はとても横から日が差していることがわかる。(右図の一番右の軌跡)
夏には天球のほぼ真上を通っているのに、冬にはこんなに端っこしか動いてないことが解ります。
参考までに、春分秋分の頃は(右図の中央の軌跡)
90-33.5=56.5度
このあたりは、建築でも基礎なので、日本の建築の庇は夏の日差しを遮り、冬は光を室内まで取り込むように計画されているのは常識。
では、太陽は本当に東から昇って西に沈んでいるのか?
左の図は地図を見るように、天球の上から地面を見ています。これを見ると、
夏至の太陽は東ではなく、さらに30度ほど(南を0度とすると、-118度くらい)も北側に振れた位置から昇り、東西対称の位置に沈みます。つまり「東から昇って西に沈んでいる」というのは随分な巾があるといえます。
そんな言葉尻をとらえて・・・と言われるかもしれませんが、建築計画には重要な意味を持っています。
夏の太陽は朝と夕方は、かなり北側まで回っている。
では何時ごろ真西を通っているのかというと、朝は9時ごろ真東、午後は15時頃に真西にあります。そのため、午後3時以降もまだまだ、じりじりと照りつけ、日没まで4時間以上も照らし続けるのです。しかも沈む前の太陽なので、高度が低く建築の西側の壁に大きい角度で当たるので、熱負荷が大きくなります。夏の西日がきつい訳です。
真西を過ぎると、北側に太陽が振れるので、敷地の両隣に遮る物が無い場合、北側の壁面や北側の庭にも充分に光が回ります。1日を見ても夏至の頃は太陽が南側にある時間より、北側にある時間の方が長いのです。
そして、南側の壁面について言えば、夏の太陽は南側の壁面にはあまり負荷を与えてない。南側にある窓から直射日光を遮るには1m程度の庇があれば充分ということになります。
春分と秋分は真東から昇って真西に沈むので、4月から8月ごろまでは北側にも光が当たり、特に5~7月には近隣の条件によっては、北側でも充分な直射日光が得られることがわかります。高さ5mの建築で影の長さは0.9m程度です。
だから、3つの庭がある家の屋上の芝生は全面緑色です(コンクリート壁の真北の直下も)。
北庭の家:建物を敷地の南に寄せ、北庭とした住宅。
庭には直射日光が必要-庭のはなし
これらは、福岡で計算していますので、他の地域では多少の違いがあります。
また、上記の時間は全て真太陽時であり、実際の時間とは季節によって数分から数十分の差があります。これについては、「真太陽時」で検索すると詳しいページがたくさんあります。
国立天文台 天文情報センター
http://www.nao.ac.jp/koyomi/
などは、地域別の今日のこよみを調べることが出来るので便利です。
よろしければ会社のホームページもご覧ください。
興味深い設計の実例を多数紹介しています
>シード建築設計事務所
2007年8月25日土曜日
博多川で流し灯楼
8月24日に博多川で流し灯楼がありました。
博多川沿いに、飢餓地蔵尊がありますが、江戸時代に飢饉があり、博多でも多くの人が飢餓で亡くなられ、亡くなられた人の霊を弔うため毎年8月23日と24日に施餓鬼供養が行われています。合掌。
川の流れはほとんどありませんでしたが、火を灯された灯楼が少しずつ流されていきます。
地蔵尊の100メートルほど下流にある博多川トイレの前を流れていきます。
一旦下流の方に行きましたが、流れを管理しているのか、ほとんど流れが無く、わずかな海風に押されて、上流の方へ戻っていきます。
ずっと上流へ戻って行きました。ネオンが映る中を静かに漂う様が幻想的でなんとも美しいです。
>シード建築設計事務所 http://www.seedhp.com
博多川沿いに、飢餓地蔵尊がありますが、江戸時代に飢饉があり、博多でも多くの人が飢餓で亡くなられ、亡くなられた人の霊を弔うため毎年8月23日と24日に施餓鬼供養が行われています。合掌。
川の流れはほとんどありませんでしたが、火を灯された灯楼が少しずつ流されていきます。
地蔵尊の100メートルほど下流にある博多川トイレの前を流れていきます。
一旦下流の方に行きましたが、流れを管理しているのか、ほとんど流れが無く、わずかな海風に押されて、上流の方へ戻っていきます。
ずっと上流へ戻って行きました。ネオンが映る中を静かに漂う様が幻想的でなんとも美しいです。
>シード建築設計事務所 http://www.seedhp.com
2007年8月6日月曜日
子ども魚のつかみどり(博多川)
8月5日博多川で「子ども魚のつかみどり」が開催されました。
好天に恵まれ、多くの子どもたちが参加しました。どんな魚かなと思ったら、うなぎでした。そのため、なかなかつかめず、大はしゃぎでした。
設計監理した「博多川トイレ」がこの日にあわせてオープンしたので、住民の代表の方々に説明と、テレビの取材も受けました。右側がトイレ。上の写真の中央奥も。
博多川トイレの写真をご覧になりたい方はこちらへ
>シード建築設計事務所 http://www.seedhp.com
好天に恵まれ、多くの子どもたちが参加しました。どんな魚かなと思ったら、うなぎでした。そのため、なかなかつかめず、大はしゃぎでした。
設計監理した「博多川トイレ」がこの日にあわせてオープンしたので、住民の代表の方々に説明と、テレビの取材も受けました。右側がトイレ。上の写真の中央奥も。
博多川トイレの写真をご覧になりたい方はこちらへ
>シード建築設計事務所 http://www.seedhp.com
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