[住宅地の一般的な庭]
住宅では南側に庭を計画して・・・ということが一般的ですが、なぜ南庭が多いのかというと、日本の住宅地では日照を得るため、南側の隣地建物から距離をとる。
標準設計の庭 |
つまり、自分の建築を敷地の中で「北側に寄せる」。そのため空地が南に出来、それが庭と呼ばれる・・・、というような計画が多いように思います。
住宅地の場合、一般的には長方形の敷地の3方が住宅に接し、1方だけが道路になりますが、敷地の中で前述のように「建物を北側に寄せる」とした場合、「北接道の敷地の場合」南側にプライバシー重視系(道路から覗かれにくい)の庭になり(下図)、
北接道の庭 |
「南接道の敷地の場合」南側に開放系(道路から見える)の庭ができるのが一般的です。
南接道の庭 |
住宅地で60坪程度以下の敷地に建つ住宅は、標準的な設計の場合、接道の仕方でオープンスペースの位置がほぼ自動的に決まります。
しかし
敷地の条件が整えば、北側の庭がの方が良いことがあります。
例えば、1方向に公園や川があって、そこから将来にわたって充分な採光が得られるとか、敷地と道路にレベル差があって、道路から直接覗かれる心配が無い、採光も得られるといった場合、必ずしも、庭は南側にある必要は無くなってきます。
北庭のメリットは
・順光で庭の木々を眺めることができる。南の庭は草花や木々を逆光で見ることになる。
・北側に大きな窓を採ることになるが、北側の窓は熱負荷が小さく南側の窓に比べ、一日を通して安定した採光が得られる。
・空は北の空が青く見え美しい、太陽がある南の空は逆光で白く見える。
などです。
常に北庭が良いという訳ではなく、庭が暗くならないか、充分な日照が得られるか、お隣の敷地の状況、近隣の将来は・・・など敷地の分析が必要です。
興味がある方は、日照の分析もあわせてどうぞ。北庭にも敷地や設計方法によっては充分に直射日光が入ることを検証しています。
写真をご覧になりたい方は下記をどうぞ
北庭の家(敷地のレベル差を利用して、プライバシー重視型の庭を造りました)
北庭の断面 |
写真をご覧になりたい方は下記をどうぞ
3つの庭がある家(60坪程度の敷地に3つの庭を造りました)
3つの庭がある家コンセプト |
中庭
庭を建物の横にとるのではなく、平面の内部に取り込むと中庭ということになります。
中庭の特徴は・・・
1. 中庭自体を、多目的に利用出来る。
周囲から眺める庭、第2のリビング、遊び場、物干し、ガーデンパーティー・・・など。周囲から見られることが無いので、プライバシーの点では究極の形とも言え、家族だけの屋外空間という、贅沢な空間になるでしょう。
2. 中庭を介して、風を取り込むことが出来る。
中庭に面した窓と、建築の外周に設けた窓を開けて風の通り道を自由に計画できる。中庭側はプライバシが守られているので、窓を開けても周囲の目を気にする必要がありません。
3. 中庭を介して、採光出来る。
南の直射日光を入れる部屋や、北側の穏やかな光を入れる部屋など、多様な光環境の部屋を計画できる。風と同様、外周に設けた窓からも採光でき、2面採光になる。
4. ぐるりと1周出来るプランは楽しく、多様な使い方が出来る。
5. 中庭があることによって、家全体を適度な距離を保ちながら繋ぐことが出来る。
中庭を介して、家族のつながり、生活の気配を感じることが出来る。
中庭の壁の高さや中庭の広さによって1~5の特徴には効果の違いが生まれます。
平屋建ての中庭が最も効果的ですが、建物が高くなったり庭が小さくなると、効果が薄くなることも考えられます。それでも、直射日光がほとんど入らないような、小さく高さが高い中庭でも、やり方によっては効果的・必要充分な効果を得るような建築計画もあるでしょう。
写真をご覧になりたい方はどうぞ
>中庭の住宅 K邸 住宅地に建つ外部閉鎖型の中庭がある家(上記の特徴を持つ中庭型の典型)
>N邸 中庭の住宅 景色の良い敷地に建つ、自然に向かって一部開放型の中庭がある家
よろしければ会社のホームページもご覧ください。
興味深い設計の実例を多数紹介しています
>シード建築設計事務所
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